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訪問介護のお仕事 alsの方と

      トルコ桔梗  フラワーショップ jyotaさんにて。






ALS(筋萎縮性側索硬化症)のTさんに出会ったのは昨年の9月。

ケアチーム再編で私も仲間に加わった。

すでに人工呼吸器と胃ろうを装着し、左手の人差し指が僅かに動くだけ。

 

訪問すると静かにベッドにいた…。

 

Tさんと私は年齢が同じという事で、意思伝達装置を使いすぐに打ち解けた。

 

人工呼吸器を外して行う痰吸引も信頼してくれて。

 

食事(胃ろうから)の時間になると「サドハラサーン オスシタベターイ (笑)」と訴えてくる。

「せやね~。バニラ風味の経管栄養剤だけど…。お寿司だと思ってよ~!」現実と冗談を混ぜた二人のいつもの掛け合い。

「タマニハゴチソウタベターイイジワルヤワー」

大笑いしながら胃ろうへ栄養剤を入れた。

 



「口から食べ物を食べたかった。」

「おしゃべりしたかった。」

「恋愛もしてみたかった。親孝行したかった。」

日々、揺れ動く感情に、私はうんうんと頷くしかなかった。

 

こんな事を繰り返しながら、ずっとずっと一緒に「生活」が出来ると思っていた。




「私はALS。難病。寝たきり。でもなかなか死なへんよ。」と笑っていたから。

 

桜を見よう!と楽しみにしていたのに

今年の冬から春への季節の変化に体調を崩して、呆気なく亡くなってしまった。

 

 

 



私の仕事は「出会って、見送る」こと。

その人が人として、最期まで誇り高く、寝たきりで身体は動かなくても精神は自立し、その人オリジナルの人生を全う出来るようサポートさせて頂く事。

 



お一人お一人違うドラマティックな生き方、死生観を目の当たりにして毎回感動する。

 




だから

訪問介護の現場はやめられない

 





明日も最良の日でありますように

 

 





佐土原美千代