無情/無常

Mohit Agrawal



むかしむかし、ある村で、少年が一人で川辺を歩いていると、助けを求める必死の叫び声が聞こえてきました。

「助けてください、助けてください、誰か私を解放してください」とワニが叫んでいたのです。尻尾をバタバタさせながら網にひどく絡まって、人間のように懇願していました。

少年はそのワニを助けようと思ったが、半信半疑でした。

「助けたら、自由になった瞬間に僕を食べてしまうだろう」と。

ワニは涙を流して言いました。「自分の命を救ってくれた人をどうやって食べればいいのか。私の種族は、救世主を味わうことはありません。あなたには手を出さないことを約束します。あなたには永遠の恩義があります。」

哀れに思った少年は、網を切り始めました。ワニの頭が網から離れたところで、ワニは案の定、少年の足をあごでつかんで言いました。「私は数日前から飢えていたんだ。」

「何てこった!」と少年は叫びました。「このクソクロコ、俺の善意をこんな風に返すのか!」

「どうしろというんだ?これが世界の常識だ!これが世界の道理だ!人生とはそういうものだ!」とワニ。

「とても不公平だろ!」と少年は叫びました。

「不公平とは何だ!誰に聞いても、宇宙の仕組みはこういうものだと言うだろう。私が間違っていると証明されたら、あなたを解放しよう。」

少年は、近くの木に止まっている鳥を見て尋ねます。「ワニの行動は公平だと思う?不公平だらけが世界のやり方なの?」

メスの鳥は、その様子をずっと観察していたので、すぐに「クロコの言うとおりね。」と答えました。善意が必ずしも親切に返ってくるとは限らない。彼女はパートナーと一緒に、子供たちを守るために安全な巣を作るのに時間を費やしたのに、ヘビが卵を飲み込んでしまうので、そのすべてが無駄になってしまったのです。疑うこともなく彼女は、世界は公平な場所ではないと言いました。

ワニは少年の細い足を強く捕らえて言いました。「食ってもいいね。」

「待って。」 少年は川のほとりで草を食んでいた年老いたロバを見て、同じ質問を投げかけました。

「残念ながら、クロコの言うとおりだ」とロバは言いました。「私はロバで、誰もが私のことを馬鹿だと思っていますが、私でさえこの世界が公平ではないことを知っています。"良い人に悪いことが起こるのはいつものこと。" 私が若かった頃、主人は私の背中に汚れたリネンを載せて、最大限の仕事をさせました。私は何年も彼に忠実に仕えました。今、私は年老いて弱っているので、彼は私を養うことができないと言って私を捨てましたよ。だから、そう、ワニは正しいのです。大きな不公平、不平等、不公正があるのです。」

クロコは少年に「もういいだろ。」と言いました。「よだれが出てきて、これ以上我慢できないよ。お祈りでもすれば。」

「待って、待って」と少年は言いました。「最後にもう一度だけ、あのウサギに聞いてみたいんだ。三度目の正直って言うじゃないか」

「私を助けてくれたのだから 最後のチャンスを与えよう。」

同じ質問をされたウサギの答えは、鳥やロバとは全く違っていました。

「そんなことはないよ。バカバカしい。世界は完全に公正な場所だよ。」兎は言いました。

「何を言っているんだ、このバカウサギ!」ワニは少年の足をくわえてながらもつぶやきました。「もちろん、この世界は不公平な場所だ。もちろん、私を見ろよ。私には何の落ち度もないのに、網にかかってしまったんだ。私のせいじゃないだろ。」

「あなたの声は、キンマの葉を口にくわえて話そうとしている人のようだ。あなたのつぶやきは意味を成しません。はっきりと大きな声で話してください。」

「お前が何をしようとしているのか、私にはわかっているぞ! 私が口を開けてはっきりと話すと、この子は逃げてしまうだろ。」

「あなたはバカですか?」うさぎは言いました。「あなたの尻尾の強さを忘れたの?もし彼が逃げようとしたら、一回殴りつければ死んでしまう。この辺ではあなたが一番強いんだ!」

ワニはこの嘘の褒め言葉に騙されて、議論を続けようと口を開きました。

うさぎが「走れ!ボウズ、走るんだ!ぼうっと突っ立ってるんじゃない!」と叫ぶと、少年は脚を取り戻して走り出しました。

ワニは怒りに狂いました。「お前はずるい! 私の食べ物を奪った。こんなに不公平なことはない!」

「どの口が言ってるの!」 ウサギは木から落としたサクランボをかじっていました。

少年は急いで村に行き、男たちを集めて槍や剣を持ってやって来て、ワニを殺しました。一緒に来ていたペットの犬が、ウサギを見つけて追いかけました。

少年は犬を捕まえようとしながら、「こらこら!」と叫びました。「このウサギは僕の命を救ってくれたんだ。襲わないで」と。犬はすでにウサギの柔らかい首に牙を刺していました。ウサギは命のない、ただの毛皮の塊になってしまったのです。

「ワニの言うとおりだったかもしれない」と少年は嘆きました。「不公平なのは世界の常だ。それが生だ。」


他の人に理解してもらいたいこととは?

「人生は不公平で、誰にとっても不公平で、だからこそ人生はすべての意味で公平なのだ!!」と。